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不確実性が高い時代。これからの教育に必要なこと
田中:平野学園ではいろいろな世代での教育をされておられますが、まずは組織構成から教えていただけますか?
平野:現在は、幼稚園、幼保園、保育園、高等学校、専門学校、文化センターの運営をしています。もともとは1944年戦時中の何もない時代に、国内に残っている女性や子ども、年配の方々の何か役に立つことができないかと祖母が始めたのがきっかけです。それから世の中もどんどん変わっていって現在の形になっています。
田中:幼児教育から専門学校まで、教育の幅が広いですね。
平野:人生の様々なフェーズでこれからの時代に対応していける人間として物事をしっかりと考えたり議論できるよう、育つ環境を提案したいと思います。
田中:いまは本当に不確実性の高いVUCAの時代と言われていますが、教育の世界においても、いまの教育を否定するわけではないですが、何か他に答えがあるのではないかなどとも思いますし、非常に難しい問題ではありますね。
平野:そうですね、人生100年時代と言われる世の中で、今の幼稚園児であれば22世紀まで活躍することが考えられます。日本の中だけでなく海外にも目を向け地球規模で子どもを育てていくことを考えなくてはいけないのではないかと思い、SDGsがその指標になり得るものだと考えています。私が教育機関として育てたいのは、まずSDGsというものがあることを知ること、そして世界を見ることで、それらのことをいかに自分ごとに引き寄せられるか、まずはそういう思考力や判断力、表現力を付けることかなと思っています。
SDGsを自分ごととして捉える
田中:教育現場でもSDGsを取り入れられているのですか?
平野:はい、2018年には「大垣ファッションフェスティバル」というイベントの中で、高校生がSDGsについて英語でスピーチをするという取り組みをしました。
田中:2018年というと大垣ではかなり早い取り組みですね。
平野:その頃はまだ、SDGsのセッションというと、大きな広間に集まって「水を大事にしよう」とか「何かを大切にしよう」とかお互いに意見を言い合う程度だったのですが、今年はケーススタディー方式にしてみました。一人の18歳の女の子を想定し、彼女が2030年までの自分の人生を考えたとき、どこでどういうアクションを起こすと、どういうことが起きるのか、それをみんなで話し合ってみようという感じで。すると、今までなら例えば「ジェンダー平等が必要でしょう」、「私もそう思います」、で終わってしまっていた議論を、本当はどうしたいの? どうすれば世の中は変わっていくの? それは一人でできるの? というように自分ごとにして考えてくれました。
田中:それはすごいですね。私が地元の高校で探求学習の一環として生徒たちにお話させていただいたときに、SDGsみたいな地球規模の問題をいかに自分ごと化して考えられるか、どうやって自分のマインドに叩き込んでいくかというのが大事だとお話しました。今の高校生たちは調べる能力は素晴らしいものを持っていて、それをまとめるところまでできる。
ですが、飢餓問題とかWeb上に載っている情報は調べてわかるのですが、それをいざ身近な地域の課題となるとなかなか出てこない、自分たちには関係ないと思ってしまっている。でも、10年後、20年後、さらには君たちの子どもが生きていく地球は君たちの問題だよっていう話をすると、ぐっと目の色が変わりましたね。地球規模でなく、地元の問題も同じだよって。
平野:仰るとおりで、学校は、現実的なところを教えることはあまり得意ではなかったんです。知識とか気づきまでは与えますが、その後の関心を深める方向ではなく、これは試験に出る・出ないとかの話になってしまって、世の中の現実的な問題を自分ごとに引き寄せることができない、だから実際世の中はこうなんだよ、ということを伝えていきたい。それを知れば、自分ごととして引き寄せていけるのではないか、そう思うのですが。
田中:私が地元の高校でお話させて頂いたのも、ふるさと教育の一環ではないですが、地元で学んで、学びが気付きになって、気付きがアクションになるとすごくいいと思っているところがありまして。最終的にはふるさとに対する想いを生徒の皆さんに少しでも持ってもらいたい、地元に貢献してくれるマインドを少しでも養ってほしい、というのがあります。
平野:そうですね、学校の役割も新たに大事になってくるのかなと感じます。知識を与えるだけであれば、オンラインでもある程度の事はできるようになっていますので、学校に来てこの仲間と弁当食べながらこういう議論をしたとか、何かアクションをおこしたとか、そして将来的には地元の文化をわかっている企業に就職させていただくとか、役に立つパートナーになるとか、そういう流れは非常に大切だと思うのです。それもSDGsですね。
これからの時代における英語教育の大切さ
田中:やはりSDGsの良さはターゲットでコミットメントじゃないところ、皆さんが手を挙げやすい仕組みだと思うのです。これを難しいものと捉えられないような訴求の仕方が重要ですよね。
平野:そうですね、SDGsもそうですし、ニューノーマルについても、大人が与えるものではなくて、やはり子どもたちが自分たちで考えて、相談して、議論して、アクションに結びつけていくということを教えていく必要があると思うのです。
そこで、今年幼稚園用の英語教材カード「キートス・アクションカード」に新しく「ニューノーマル編」というものを制作いたしました。
世の中では、今までは、キリンや象といった単語を覚える英語教育をやってきたのですが、今、動物園にも行けない状況で、それよりも「手を洗う」、「うがいをする」、という方が重要だと考えたのです。例えば消毒という言葉は、子どもには馴染みがなかったと思うのですが、今は普通に消毒と言っています。こういったことを考えると、じゃあ英語でなんていうの? と英語も知って、そうすれば外国のお友達とも共有できるようになりますよね。高校生でも、外国の人とディスカッションできるようなプラットフォームづくりというのが学校として必要なことではないかと思っています。
田中:素晴らしいですね。平野学園さんが力を入れているのはそこですかね?
平野:そうですね、われわれ私学は、建学の精神に則り、新しくも本質的な教育をしていくことを矜持としています。ですから、いろんなことにトライして、これは良かった、これは駄目だったということを世の中に示していくのが我々の役割です。時代の風を読みつつ、時代に合わせた教育をする以上に、こういう世の中づくりをしたいという思いがあって、そこに教育があって、世の中がその後に創られていく、というくらいの勢いでやっていきたいと思っております。
田中:やはり、いろいろと実感されたことがあるからこそ、そのような考えに至ったのだろうと思います。英語教育についてのお考えは?
平野:私どもの英語教育のコンセプトは、いかに自分の中に多様性を持たせるかということです。ヨーロッパなど海外の会議に参加しますと、フランス人、イタリア人、ドイツ人がいて、話すときはお互い英語で話します。でも、それぞれの国に帰ると、当然それぞれの母国語で話すんですよ。その中に日本人も加わっていかなければいけないので、やはり日本人もいろんな国の考え方、いろんな地域の考え方を知る必要があると思っています。子どもの頃からの英語活動に、自らの中にいかに多様性を高められるかということにつながっていくと考えています。
田中:まさにSDGsの一環ですね。これだけテレビとかで報道されると、子どもたちもよく見てますし、文科省の指針で小学校の教科書にもSDGsが入ってきたことで、これからはしっかり教育を受けた子どもたちに教えられるという時代が来るかもしれないと思いますね。本当にそうなったら頼もしいと思います。
平野:SDGsがただのトレンドではなく未来の人類を導く指標・目標であることを考えると、やはり自分ごとに引き寄せられるような教育をしていかないといけないと思います。そのためにも田中さんをはじめとしたいろんな方からお力やお知恵をいただきながら進めていきたいと考えています。ブックスマート(本で学ぶ人)以上にストリートスマート(実践的な知識、技能で生きていく人)を育てる、というと、教育機関として大胆すぎるでしょうか?
田中:まさにSDGsの良さは、これをきっかけに今まで知り合えなかったような人とも知り合えることかもしれませんね。これからもいろんな人とのご縁を大切にしていきたいと思います。ありがとうございました。(了)
TOPIC
「キートス・アクションカード」
ニューノーマル編
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- キートスガーデン幼稚園
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Company PROFILE
企業名(団体名) | 学校法人 平野学園 |
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URL | https://hirano.ac.jp/ |
理事長/学校長 | 平野 宏司 |
所在地 | 〒503-0883 岐阜県大垣市清水町65 |
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